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「無料で廃品回収」うたう業者からの高額請求トラブル続発…どう対処すればいい?
2016年06月21日 10時15分

「無料で廃品を回収する」とうたって町中を巡回する廃品回収業者。そんな業者に廃品回収を依頼して、高額の料金を請求されたというトラブルが相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた廃品回収に関する相談は2015年度に1351件。2010年度の1884件をピークに多少減少しているものの、直近の4年を見ても年間1400件前後の相談が寄せられている。

また、高齢者の被害が多いことも特徴だ。2015年の1351件中、60代以上の高齢者からの相談が半数以上にのぼる。最も多いのは、70代の268件で、80代以上からも182件の相談が寄せられている。

相談事例では、「無料」とアナウンスしながらトラックで巡回している業者を呼び止め、廃品回収を依頼したところ、不要品を軽トラックに積み終えた途端に6万円を請求されたという60代女性の相談が紹介されていた。しつこく請求されたので、女性は手持ちの3000円を支払ってしまったという。

こうした廃品回収業者は法的に問題ないのか。どう対処すればいいのか。消費者問題に詳しい岡田崇弁護士に聞いた。

「無料で廃品を回収する」とうたって町中を巡回する廃品回収業者。そんな業者に廃品回収を依頼して、高額の料金を請求されたというトラブルが相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた廃品回収に関する相談は2015年度に1351件。2010年度の1884件をピークに多少減少しているものの、直近の4年を見ても年間1400件前後の相談が寄せられている。

また、高齢者の被害が多いことも特徴だ。2015年の1351件中、60代以上の高齢者からの相談が半数以上にのぼる。最も多いのは、70代の268件で、80代以上からも182件の相談が寄せられている。

相談事例では、「無料」とアナウンスしながらトラックで巡回している業者を呼び止め、廃品回収を依頼したところ、不要品を軽トラックに積み終えた途端に6万円を請求されたという60代女性の相談が紹介されていた。しつこく請求されたので、女性は手持ちの3000円を支払ってしまったという。

こうした廃品回収業者は法的に問題ないのか。どう対処すればいいのか。消費者問題に詳しい岡田崇弁護士に聞いた。

●請求されても、支払う必要はない

「国民生活センターに寄せられているようなケースをみると、業者の行為は法的に正当なものではありません。請求された場合、代金を支払う必要はありません」

岡田弁護士はこのように述べる。なぜだろうか。

「廃品回収業者に廃品回収をしてもらう場合、『廃棄物の運搬と処分を依頼する』という役務を提供する契約をしているものと考えられます。その対価について『無料』という前提で消費者と合意が成立し、履行に着手している以上、有料の請求を行う根拠はないからです」

代金を支払ってしまった場合はどう考えればいいのか。

「有料にするという契約の変更の合意が成立したともとれますが、特定商取引法上の訪問販売にあたりますので、クーリング・オフをすることが可能です。支払ったお金を取り戻すことができると考えます。

ただ、そうした業者はまともな実態を備えていないこともあり、一度支払ってしまうと、取り戻すことは困難になります。請求は不当なものですから、支払わないことが大切です」

●営業すること自体が違法

「そもそも、一般家庭から出る廃棄物を有料で収集・運搬するには、廃棄物処理法により一般廃棄物収集運搬業の許可か、もしくは市町村長の委託が必要です。

こうした不当な請求をする業者は、そのような許可や委託を得ていないと思われるところです。本件において、廃品回収業者が料金を請求してきた時点で、違法行為をおこなっていることになります。

廃品回収業者が回収した廃棄物について適切な処理がなされず、不法投棄、不適切処理、不適切な管理による火災などが発生した事例が報告されています。

消費者としては、違法な廃品回収業者を利用しないことが大切です。

なお、古物商の許可を持っている業者が、古物の買取・交換をおこなうことは認められていますが、本件のような運搬及び処分の費用を受領する形での営業が認められるわけではありません」

(弁護士ドットコムニュース)

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