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ウサギたちの「楽園」大久野島で虐待死…「動物愛護法違反」で逮捕の男性に「重罪を」の声、実際にはどんな罪?
2025年01月30日 10時12分
#大久野島 #ウサギ

瀬戸内海の「ウサギ島」として知られる広島県竹原市の大久野島で、野生のウサギを蹴ったとして、20代の男性会社員が動物愛護法違反の疑いで現行犯逮捕された。中国新聞などの報道によると、蹴ったあとにウサギは死亡。男性は容疑を認めているという。

環境省によると、大久野島では昨年11月から1月までに、99匹のうさぎが死んでいるのが発見されている(1月28日現在)。男性はその関与もほのめかしていると報道されており、あまりにむごい行為が報じられたことから「重罪にしてほしい」という声がSNSに上がっている。

もし仮にウサギの大量死への関与が認定された場合、男性はどのような罪に問われるだろうか。動物の法律にくわしい渋谷寛弁護士に聞いた。

瀬戸内海の「ウサギ島」として知られる広島県竹原市の大久野島で、野生のウサギを蹴ったとして、20代の男性会社員が動物愛護法違反の疑いで現行犯逮捕された。中国新聞などの報道によると、蹴ったあとにウサギは死亡。男性は容疑を認めているという。

環境省によると、大久野島では昨年11月から1月までに、99匹のうさぎが死んでいるのが発見されている(1月28日現在)。男性はその関与もほのめかしていると報道されており、あまりにむごい行為が報じられたことから「重罪にしてほしい」という声がSNSに上がっている。

もし仮にウサギの大量死への関与が認定された場合、男性はどのような罪に問われるだろうか。動物の法律にくわしい渋谷寛弁護士に聞いた。

●愛護動物殺傷罪は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」

——男性は逮捕容疑となったウサギを蹴った行為を認めているようです。その後、ウサギは死亡しました。どのような罪に問われる可能性があるでしょうか。

動物愛護管理法44条に規定されている愛護動物殺傷罪に問われる可能性があります。

同条では、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」と規定されています。

ここで対象となっている「愛護動物」については、同条の第4項で、「『愛護動物』とは、次の各号に掲げる動物をいう。第1号 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる 第2号 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの」と規定しています。

この1号の「いえうさぎ」に本事件で殺害されたウサギが該当すれば愛護動物殺傷罪が成立する可能性があります。

「いえうさぎ」に該当すれば、人が占有しているか否かを問いませんので、人に飼育されていなくて屋外に生息している「いえうさぎ」も含まれることになります。

●「いえうさぎ」に該当しなくても犯罪にあたる可能性

——「いえうさぎ」に該当しないと罪には問われないのでしょうか。

この「いえうさぎ」に該当しない場合でも、犯罪となる可能性があります。

本事件において殺害されたウサギが、「いえうさぎ」に該当する場合、もしくは「いえうさぎ」に該当しない種類のウサギであっても人が飼育(占有)していたウサギであれば、動物愛護管理法の愛護動物殺傷罪が成立する可能性があります。

本事件において殺害されたウサギが野生のウサギであった場合には、鳥獣保護法の「鳥獣」に該当しうるので、同法の罰則の対象となり同法に違反する犯罪が成立する可能性があります。

原則として、鳥獣及び鳥類の卵は捕獲等又は採取等をしてはならないと規定する同法8条に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる旨の罰則もあります(同法83条)。

●「大量殺害」立証できれば量刑重くなる可能性

——男性が90匹以上ものウサギを殺していたと認定された場合、男性の量刑等に影響はあるでしょうか。

愛護動物殺傷罪においても、殺害された愛護動物の数が多ければ多いほど被害が大きく犯情は悪質と判断されうるので、量刑の判断の際には重くなる方向に働くと考えられます。

もっとも、検察官が、裁判で立証できる根拠のない犯罪事実については起訴しないことが考えられます。

他のウサギについて目撃者がいないとしたら、同一の被疑者の加害行為によって死亡したことの立証がとても困難となれば起訴を断念することもありましょうし、犯情が悪質であることによる重罰化にも結び付かないでしょう。

島内に監視カメラなどがあり、被疑者による犯行であると立証できるかどうかが鍵になると考えられます。

●裁判例が少ない動物への犯罪、課題は?

——今回の事件について、厳罰を求める声がSNSで上がっています。動物に対する犯罪について、何か課題はありますか。

動物に対する犯罪の事例は増加しつつあるものの、過去に裁判となった事例はまだまだ少ないのが現状です。

新しく起きる犯罪と同様の事例としての過去の裁判例がないことも多いことでしょう。過去に軽い刑を選択した裁判例があるからその判断を尊重し踏襲するとの考え方があるとしたら疑問を感じます。

動物愛護管理法の愛護動物殺傷罪の法定刑は、度重なる改正の都度に厳罰化されてきました。これは国会で決められたことであり国民の意見を反映していることです。

国民の動物虐待についての重罰化を望む意志を、検察官も裁判官もよく理解していただき過去の事例にとらわれないより適切な判断をしていただきたいと願います。                                      

参考資料:環境省「動物虐待等に関するガイドライン」(P.17) https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0403a/full.pdf

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