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五ノ井里奈さん「心から反省して罪を認めてほしい」自衛隊・性暴力裁判始まる
2023年07月07日 09時57分

陸上自衛隊で複数の隊員から性被害を受けたと実名で訴えた元自衛官の五ノ井里奈さん(23)の刑事、民事裁判がそれぞれ始まった。6月29日、福島地裁であった刑事裁判の初公判では、五ノ井さんも証言した。

五ノ井さんは、郡山駐屯地のY中隊に配属後の2020年秋から翌年夏にかけ、訓練中に体を触られるなどのセクハラを日常的に受けたうえ、訓練場にて胸を揉まれる、陰部を触らされる、股間に陰部を押し付けられ動かされる等の被害に遭ったと明かしている。

今年(2023年)5月には、著書『声をあげて』(小学館)を出版し、これまで受けた被害や、自衛隊がこれを黙殺したことから、実名顔出しで被害を公にしたことなどを詳細に綴った。裁判を前に、どのような思いでいるのか。五ノ井さんに、話を聞いた。(ライター・高橋ユキ)

陸上自衛隊で複数の隊員から性被害を受けたと実名で訴えた元自衛官の五ノ井里奈さん(23)の刑事、民事裁判がそれぞれ始まった。6月29日、福島地裁であった刑事裁判の初公判では、五ノ井さんも証言した。

五ノ井さんは、郡山駐屯地のY中隊に配属後の2020年秋から翌年夏にかけ、訓練中に体を触られるなどのセクハラを日常的に受けたうえ、訓練場にて胸を揉まれる、陰部を触らされる、股間に陰部を押し付けられ動かされる等の被害に遭ったと明かしている。

今年(2023年)5月には、著書『声をあげて』(小学館)を出版し、これまで受けた被害や、自衛隊がこれを黙殺したことから、実名顔出しで被害を公にしたことなどを詳細に綴った。裁判を前に、どのような思いでいるのか。五ノ井さんに、話を聞いた。(ライター・高橋ユキ)

●五ノ井さん「もう無の境地です」

今年(2023年)1月には、国と5人の元隊員を相手取り、計750万円を求める損害賠償請求訴訟を横浜地裁に起こした。さらに加害者らのうち3人については強制わいせつの疑いで書類送検され、不起訴処分となっていたが、昨年(2022年)9月、郡山検察審査会が「不起訴不当」と議決し、強制わいせつ罪で在宅起訴された。

——裁判を前に、今の気持ちをお聞かせください(注:取材は刑事裁判が始まる前の6月中旬に実施)

「刑事裁判が始まる前に、被告人たちが無罪主張するという記事が出たことから『冤罪じゃないか』とか『嘘をついてる』といった誹謗中傷がSNSなどで私のもとに寄せられています」

——昨年(2022年)10月には、4人と個別に非公開で会い、謝罪を受けたことを明らかにされていますね。著書でも、加害者の謝罪の言葉が生々しく書かれていました。

「そもそも、なぜ国が認めているかといえば、最初の取り調べで加害者たちが事実を認め、昨年10月、謝罪したからです。無罪だという彼らの主張は、矛盾が生じているのではないかと思っています。

(自衛隊でこれから同じような被害をなくすためには)体制よりもひとりひとりがハラスメントに対する考え方を変えないといけないと思います。自衛隊全体が悪い人ばかりではないことはわかっています。しかし、被害の報告をうけたとき、なかには隠蔽してしまう人もいます。組織自体が変わらないと被害は根絶できない。

『いつまでやるんだ』とか『謝罪で終わらせとけばよかったのに』とか『目的が変わってる』とよく言われますが、被害を明かした目的は最初から変わっていません。彼らが心から反省して罪を認めてほしいからです。

謝っているのに認めないというのは反省していないという気持ちが丸見えじゃないですか。だからここまでやってるだけです。

裁判は難しいですし、いろんなプレッシャーを抱えています。もう無の境地ですよ。加害者が事実を認め、法的に裁かれる世の中であって欲しいです。

もし、彼らの大切な人が同じことをされたらどう思うのか。反省の意思を示そうとしない加害側の人間をどう思うのか……。なにより加害者には反省してもらいたいです」

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