この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者は、某市役所から、相談者の親族が亡くなったところ、近親者はみな相続放棄をしたので諸々の対応をしてほしいとの連絡を受けて、どのように対応したらよいか迷っていました。市役所の話では一定の財産がありそうでしたが、他方で近親者が相続放棄をしていることから、把握できない債務があることも考えられました。
解決への流れ
まずは、相続放棄の熟慮期間の延長の申立てを行いました。その間に信用情報機関に問い合わせて、金融機関等に債務がないかを確認しました。具体的な債務は見当たりませんでしたが、把握しきれない債務(個人からの多額の借金等)があることも否定できないため、限定承認(プラスの遺産とマイナスの遺産を調査して、差引でプラスの財産があった場合にその分だけを相続する手続。一定期間後に債権者が現れたとしても、その債権者には支払わなくてもよくなる。)を申し立てることとしました。限定承認申立後、さらに調査を進めると想定以上の資産が判明し、それらをすべて換価(お金にかえること)しました。また、不動産を処分したり、自動車を処分したりするとともに、判明した債務については弁済を進めました。思った以上に債権債務が色々あって、諸々の手続はなかなか手間取りました。そうした手続を経て、最終的に、相当額の遺産を安全に取得することができました。
正直、限定承認はあまり行わないです。多くの場合、負債が多くて相続放棄した方がよさそうだとか、遺産が多いのでそのまま相続して問題なさそうだといった事情が判明しているためです。ただ、この事例のように、不安要素がある場合には、限定承認は有効な手段だと思います。