この事例の依頼主
30代 男性
高速道路での多重事故で、後方から多数回追突されるという事故態様でした。事前認定で後遺障害申請したものの、非該当の結果で返ってきており、その後も腰痛で仕事に支障が出る状態が続いていることから、納得できないとのことでご相談にいらっしゃいました。
症状固定までの通院期間が、5ヶ月程度しかなく、後遺障害認定を得るには、難しい事案と判断されました。しかし、事故態様が甚大であり、症状も明確に残存していることから、できることを全て行って、後遺障害申請を致しました。まず、事故態様を正確に自賠責損害調査事務所に伝える必要があると判断して、検察庁から実況見分調書を取り寄せました。また、MRIが撮影されていませんでしたので、改めてMRIを撮影してもらい、MRI画像を専門機関に鑑定依頼致しました。その結果、やはり、腰痛を裏付ける画像所見が認められました。(ただ、時間が経過しすぎており、外傷性を示唆する所見は認められませんでした。)さらに、本人の仕事に支障が出ている状況等を日常生活状況報告書として、作成してもらうこととしました。その上で、症状固定後の症状の継続を裏付ける、通院時の領収書を添付して、異議申立を致しましたが、残念ながら、非該当の判断に変更はありませんでした。自賠責保険・共済紛争処理機構に調停を申し立てることも検討致しましたが、ご本人が解決までの期間が長引くことを懸念して、非該当のまま、示談交渉を行うことと致しました。事故後、症状固定までの間も、業務に支障が出ていることは明白でしたので、業務への現実の影響を丁寧に立証するように致しました。また、後遺障害非該当ではあるものの、事故態様は甚大で、症状の継続も明白であることを強調して、訴訟提起した場合には、後遺障害に関して、一定の慰謝料等が認められる可能性があるとして、粘り強く交渉致しました。その結果、最終的には、一般的な意味での後遺症が残存していることも考慮した内容での示談案に辿り着くことができ、金165万円での解決に至りました。
症状が根強く継続している場合には、後遺障害認定が得られるように最善を尽くすのですが、それでも、早期にMRIを撮影していなかったり、症状固定までの期間が短かったりすると、認定を得ることが困難なことがございます。特に、MRIは、時間が経過してから撮影しても外傷性の所見は映らないことが多いので、後からではどうしようもないことがあります。後遺障害が心配な場合は、少なくとも治療中に、ご相談頂いた方が良い結果に繋がりやすいです。ご懸念がある場合は、当法律事務所の弁護士(札幌弁護士会所属)まで、お早めにご相談下さい。