犯罪・刑事事件の解決事例
#相続登記・名義変更 . #相続人調査 . #遺言

高齢の親の介護を放棄した養子に相続財産を渡さないため公正証書遺言を作成したケース

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碇 啓太 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人いかり法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

60代 女性

相談前の状況

相談者は父親と同居し、父親の介護を続けてきました。相談者には妹がおり、妹の夫が、相談者の父親の介護を行うことを約束して、養子に入りました。ところが、この養子は父親の介護を一切行いませんでした。このままでは、父親が亡くなると、この養子にも法定相続分の財産が相続されることになります。そのため、相談者は、養子に相続財産をなるべく渡さないようにするにはどうすればいいかと悩み来所されました。

解決への流れ

父親の相続財産はすべて娘の相談者とする旨の公正証書遺言を作成することになったため、父親が亡くなった場合には相続財産の名義はすべて相談者のものとなり、相談者は相続財産を1人で処分することができることになりました。結果、仮に遺留分侵害額請求権を行使されても、法定相続分よりも少額の価格賠償で養子との遺産分割を済ますことができることになりました。

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碇 啓太 弁護士からのコメント

確かに、公正証書遺言によっても、相続人の遺留分(法定相続人に最低限保障される遺産のことです。)を侵害することはできません。しかし、遺留分を侵害する内容の遺言も法的には有効です。また、遺留分が侵害された場合に法定相続人が行使する遺留分侵害額請求権(民法改正前は遺留分減殺請求権といいました。)は遺留分の侵害を知ってから1年以内に行使しないと時効により消滅します(相続開始後10年を経過した場合も同様です)。また、遺留分侵害額請求権を行使されても、遺留分権利者への返還額は法定相続分よりもずっと少額になります。例えば、本件では、相続人が子3人でしたので、遺留分は被相続人の財産の6分の1となりました(これが法定相続分だと3分の1となります。)。さらに自筆遺言書などではなく、公正証書遺言として残しておくことによって、その後の遺産分割手続を安価で円滑に進めることも可能となります。このように、たとえ遺留分侵害額請求権を行使されることを考慮しても、予め公正証書遺言を準備しておくことは、たくさんのメリットがあります。