犯罪・刑事事件の解決事例
#財産分与 . #離婚請求

傍目とは違う辛い結婚生活

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森 仁至 弁護士が解決
所属事務所森法律事務所
所在地東京都 中央区

この事例の依頼主

40代 女性

相談前の状況

依頼者A子さんと相手方の夫B男さんは、傍目もうらやむ恵まれたご夫婦でした。A子さんは赤坂の名の知れた料亭の一人娘で、B男さんは都内有名なフランス料理店オーナーシェフです。2人の間には、中学生の娘さんが一人います。A子さんはもちろんのこと、B男さんも何もおかしいところはない、ごく正常な、常識も礼節もわきまえた人です。2人とも特に不貞を働いてとか金遣いが荒いとか暴力など、一切ありません。しかしB男さんに言わせると、「しっかり家事をしない、店を手伝おうとしない」と言う一方、A子さんに聞くと、家事(掃除、洗濯、炊事など)はごく普通にしているようです。それぞれの友人、知人からも全く悪評はありません。生活費はもちろん貯えも十分に余裕があります。外から見たらうらやましい家庭でしょう。しかし、何年も前から2人の間はギクシャクして、何かが壊れていきました。ついには殆ど会話もない状態で、B男さんは朝から仕事に行って夜遅く帰ってくる毎日で、A子さんは次第につらく追い込まれていきました。ひどい言い争いがあるわけではないのに、毎日がつらくて体調も落ちていって、夜も眠れず鬱病気味になっていきました。それでも、「こんな恵まれた状態に不満を言ってはいけない」、と我慢していました。ところが、B男さんが突然家庭裁判所に離婚調停を起こしてきました。A子さんは驚きましたし、腹も立ちました。自分がこんなに耐えてきたのに、まるで悪者扱いをされたのですから。A子さんも弁護士に頼んで反対の離婚訴訟を起こしました。そこから先は、互いにどれほどに相手がひどい夫であるか、ひどい妻であるかを分厚い陳述書に書いてぶつけ合うという凄まじい争いとなっていきました。それが何ヶ月も続いて、A子さんの弁護士は、「このままでは負ける」と弱音を吐くようになって、A子さんは途方にくれました。調停から訴訟でもう2年に近づいていました。なぜ自分が悪いこともしていないのに責められて負けるのか、どうしても納得ができません。その内に体調が本当に悪くなっていって、このままでは病気になるという状況で、A子さんとその母親が私に相談に見えました。

解決への流れ

私は話を聞いて資料を見て、A子さんに、「この裁判は負ける心配はありません、安心して下さい」と言いました。A子さん母子はびっくりしていました。離婚とは、民法770条所定の離婚条件が認定されないと離婚勝訴判決はとれません。この意味でA子さんは敗訴はしません。但し、勝訴見込みもは十分ではありません。しかし私は資料を見て、A子さんもB男さんもどちらも離婚を強く求めていることに着目したのです。どちらもよりを戻す気持ちは皆無です。それなら合意離婚(協議離婚)をすればいいことです。それで敗訴しないと言ったのです。私は新しくA子さんの代理人に就任して、裁判所とB男さんの代理人弁護士に対して、「厳しい争いは中止して合意離婚をしよう」と提案しました。裁判官は喜んでいました。その後3~4ヶ月少々で協議離婚が成立し、A子さんは十分な財産分与をもらい、B男さんも晴れ晴れした感じで喜んでくれ、離婚届は私と一緒に区役所に届け出ました。

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森 仁至 弁護士からのコメント

できる限り争いを避け、無用に相手を非難したり、刺激することはしない。目的に到達するにはどうするかを真剣に考えればいいアイデアが浮かびます。なお、A子さんは、毎回調停の度に裁判所に連れて行かれて、裁判官、相手方の弁護士と話しをさせられるのが非常につらいと言っていたので、私は「分かりました。それはしません」と言って、私が代理人となってからはついに一度もA子さんは裁判所に行かずに終りました。もうひとつ、離婚した後も子供もいることですし、憎しみや恨みを残してはなりません。