犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

遺産分割は、法律的弁護技術はもちろんですが、心が通じないとうまくいきません。

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森 仁至 弁護士が解決
所属事務所森法律事務所
所在地東京都 中央区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

父が死亡、妻70代と長男50代、長女50代、二男40代が相続人。十分な預貯金と広い庭付きの自宅が遺産。別荘もあり。遺言なし。母と兄、姉の3名対二男が対立していて、家族で何度も話し合うが難航。こじれて二男から調停申立。

解決への流れ

私が相手方(母、兄、姉)の代理人となって調停を進めたが、いかに円満に話しても、法定相続分以上を割り当てると譲歩しても、どうしても二男は分割に応じない。やむなく2度、3度と譲歩を重ねても調停成立とならず、2年を越えて、もはや打つ手がなくなっていった。遺言がない以上、二男がウンと言わないとどうにも難しい状況でした。私は困り果てて、問題の二男に一度私と一対一で会ってお話しを聞かせてくれと申し入れました。二男は承諾して、寒い雪の降る日、都内の小さいホテルのロビーで二男の話しを聞きました。およそ2時間半。ようやく分かりました。二男は遺産の額の大小が不満ではなく、少年期から成人するまでの間、良妻賢母型の母と優秀な兄、美人の姉の中で、自分だけが虐げられ、軽んじられてきたことが許せなかったのです。今こそ、母、兄、姉に自分の重みを思い知らせるときだったのです。私はこの長い話しを聞いて、これは無理もないかもしれない。気の毒な男だと感じ、「よく分かりました」と言って別れました。それから1ヶ月経たない内に、なぜか二男から「森弁護士からかねて提案していた分割案でいい」と電話が来て、一気に調停成立となり、全面解決しました。この二男は、遺産を欲しいというよりも、多年の恨みを忘れられなかったのです。

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森 仁至 弁護士からのコメント

論理構成と証拠で、いわば力ずくで結論を出す訴訟と違って、遺産分割は人と人との交渉です。心が通じることで初めて好ましい解決ができると改めて学びました。従って私は遺産分割で(その他の事件でも同じですが)、相手方と会い、話すときは自分の衣服、言葉遣い、声などに特に気を使い、礼儀正しく接することを心がけています。