この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
相談者は、夫と子育てに関する考えを含めて合わない部分が多く、また自身や子どもに対する暴力もあるなど、これ以上婚姻関係を続けるのは困難と考え、別居をしていました。別居開始後も、夫の考えがよく分からず、このまま当事者間で話し合いを続けることは難しいと考え、離婚と婚姻費用の交渉を弁護士に依頼した事案です。
解決への流れ
夫は弁護士に委任しなかったため、直接本人との交渉になりましたが、婚姻費用、子の親権、養育費のほか、夫婦共有名義の不動産が複数あるなど、協議すべき事柄が多い事案でした。半年以上協議を続けましたが結果的にまとまらず、調停を申し立てることになりました。上記争点のうち、婚姻費用については、調停申立て後早々に、別居日以降の未払婚姻費用(約1年分)をまとめて支払ってもらうことで調停が成立しました。
実務上、婚姻費用を請求できるのは「請求時」以降とされています。「請求時」がいつになるかは「調停申立時」「内容証明郵便での請求時」などいくつか考え方があるのですが、少なくとも何もしないままでいると、別居期間中に義務者(収入の多い方)から生活費の支払いを受けていなかったとしても、遡っては請求できないことになってしまいます。本件は、交渉が結果的に長期化したものの、受任後すぐに内容証明郵便で婚姻費用の請求を行っていたため、未払分を回収できた事案です。婚姻費用は離婚に至るまでの生活の安定に直結する費用でもありますので、早期に弁護士に対応を依頼することをお勧めします。