犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

遺産約1億円のうち,遺言により若干の金額の遺贈を受けるにすぎなかった相続人から,遺産のほぼすべてを遺贈された相続人に対する遺留分減殺請求により,遺留分相当額として約1500万円を受領し解決したケース。

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染矢 修孝 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人染矢修孝法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

40代

相談前の状況

不動産を所有し,株式会社を営まれていたお父様が亡くなられ,お父様は,三名いらっしゃる姉妹のうちで,長女の方にのみ,その所有するほぼすべての財産を渡すという内容の公正証書遺言を遺されていました。遺産の内容としては,自宅土地建物のほかに土地が数筆,若干の預貯金,自らの会社の株式があり,相続開始時の時価としては,約1億円相当となりました。遺言の内容にどうしても納得がいかなった長女以外の相続人の方々は,初盆が終わったのち,長女の方との話し合いが平行線となることが容易に予想されたため,弁護士の下へご相談にこられました。弁護士への依頼は初めての経験ということで,弁護士への依頼の方法や,弁護士費用,事件の進行や予想される解決の着地点,など細かにご質問をいただき,一つ一つ疑問や不安を解消していただきました。二回の相談の後,遺留分減殺請求については,1年間の消滅時効もあるため,なるべく早めに相手方へ遺留分減殺請求の通知を送るべきとの結論に至り,弁護士から遺留分減殺請求通知書を送り,速やかに交渉を開始することとなりました。

解決への流れ

弁護士から遺留分減殺請求の通知を送ったのち,約1か月後,弁護士が長女の方と直接お会いし,遺留分減殺請求についての話し合いを持つこととなりました。話し合いにおいては,長女の方は,こちらから,相続開始後,当方からの遺留分減殺請求がなされる少し前に,遺言の内容に基づき自らが相続の登記を行ったうえ,不動産の一部について売却の手続きを行おうとしていることが判明しました。そのため,弁護士から,受贈者である方が,遺留分減殺請求の対象財産を他人に譲渡した場合であっても,遺留分権利者である,次女や三女の方に対して,その売却金額については,いわゆる価額弁償(不動産などの目的物の価額を遺留分権利者に弁償することで,目的物の返還の義務を免れること。)の対象となることなどを説明いたしました。そのような話し合いの後,長女の方は,弁護士への依頼を行われ,弁護士間の交渉という流れになりました。弁護士間の話し合いにおいては,長女の方が,相続開始後,遺留分減殺請求前に,売却手続きに入っていた不動産の売却代金について,遺留分減殺請求権者に対する,価額弁償の対象となることについての了解が取れ,最終的に,不動産の売却金額を利用する形で,当方の依頼者らに,一定額の価額弁償をしてもらうという内容で解決する方針となりました。また,そのほか,当方から,長女の方が,お父様の生前に,お父様から,その営まれていた株式会社の株の贈与を受けていることなどを指摘し,その点については,長女の方が贈与を受けた株について相続が開始した時点での評価額を基準に,当方が若干の譲歩をした金額で遺留分算定の基礎となる財産に含めるとの合意にいたりました。当方から遺留分減殺請求の通知を行ってから約1年半の話し合いにより,最終的に当方の依頼者である次女,三女の方は長女の方から価額弁償として約1500万円ずつ受領することで解決することとなりました。当初,遺言の内容では,一人約100万円程度であったものが,約1500万円の金額となったため,当方としては,遺留分割合という相続分割合よりも低い取り分ではありましたが,一応満足していただける結果となりました。

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染矢 修孝 弁護士からのコメント

当事者間で,遺留分減殺請求についての実質的な話し合いを行う前に,弁護士への依頼を行っていただいたことで,当事者間での,感情的なやり取りが少なく済んだという点が良かったと考えております。また,感情的なトラブルが少なかったことが,当方の依頼者らとしても,今後,お父様の会社の代表となる長女の方への一定の譲歩が心情的に行いやすかったのではないかとの印象を受けました。相続トラブルの解決に関しても,できる限り早めに,冷静な話し合いを行うことが,早期かつ円満な解決につながりやすいものと改めて感じました。