この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
家族関係は母(認知症で施設入所中)、長女、二女(相談者)。父は10年前に他界。長女が母親の身の回りの世話をして預貯金通帳を管理しているが、その預貯金を勝手に使い込んでいるようであり、しかも、母親の施設入所により空き家になった自宅に家族とともに入居してしまった。このままでは母親の財産が長女に食いつぶされてしまうので、何とかならないか。という相談を受けたので、母親の成年後見人選任申立をすることにしたが、母親の主治医に連絡したところ、協力を拒否されて診断書を入手することができず、成年後見人選任申立が困難になった。相談者によると、10年前に他界した父親の相続の処理をしておらず、父名義の預貯金が凍結されたままとのことだったので、母親と長女を相手方として、亡父の相続について遺産分割調停の申立てをし、その手続の中で母親の成年後見人選任の必要性を主張していくことにした。
解決への流れ
遺産分割調停申立後、裁判所の呼出しに応じて長女が母親を連れて調停期日に出頭し、調停委員と面談したところ、裁判所は、母親に成年後見人を選任する必要があるとの判断に至った。そこで、相談者は母親の成年後見人選任申立てをし、裁判所は長女を説得して手続に協力させ、成年後見人(地元の弁護士)が選任された。成年後見人が長女から預貯金通帳を預かり、調査したところ、1800万円の使途不明金が発覚した。母親は自分で預貯金を引き出したり使ったりすることができないので、長女は自分が使ったと認めざるを得なかった。成年後見人は長女に使い込んだ金銭の返還請求をし、長女は分割でこれを返済していくことになった。父の遺産分割については、法定相続分により分割された。
高齢者の身近にいる親族が不正行為を働いている事案はよくありますが、その中でもうまく処理できた事案でしょう。